10月30日
イ型が本を読みあさっていると聞き、不要になった何冊かを私も与えてみた。
つい二日ほど前、ビーカーから出た時には言葉もまともに話すことが出来なかったそれは「ありがとうございます、ちょうど、わたしのかたちのあのひとが、たたかいばかりをまなぶなとおっしゃっていたのです」と、ご丁寧にも笑顔を添えて受け取った。
10月31日
わたしのかたちのあのひと、ではなく、お前があれの形を真似たのだと教えてやると、きっときれいだからまねしてしまったのかもしれません、と笑った。
同じ形の検体が並ぶ中、本を与えたそれは随分と積極的に学習をしているようだ。
11月3日
身体能力の記録を取った。力、持久力、機敏さ、動体視力、命中率、その他全てにおいて、訓練を積んだ者を遥かに超える数字を叩き出した。力の加減も利き、繊細な作業も問題ない。
11月4日
本を与えたそれに、いろはと名付けた。名前に意味はさほど無いが、イ型と呼ぶよりは多少愛着が湧くかもしれない。
早速名を呼ぶと、へにゃりと笑った後「すこし、こそばい」と呟いた。
11月5日
多少、非人道的と言われても仕方がないかもしれない。
今朝、耐久性の確認を行った。どうやら、脳へ損傷がなければ回復能力には問題は無いようだ。
"私が本を与えた検体"は、そのせいで、どうや 兵器としては失敗作になってしまった様だ。
壊れてしまった。
人としては正常な反応 あった。体を固定さ たそ は泣き叫び、最後には諦め いた。
痛みを感じることはなくとも、恐怖な 強い感情により、体に受ける刺激を痛み 思い込 でしまう かも れない。或い それ で認識し いなかっ 痛み 気付 のかもし な 。
名前なんて付けなければよかった。 を与えた検体は今日、処分された。