大弥奔帝國記録室

創作作品『単身神風』『金平糖』のキャラクター、世界観をまとめたサイトです

短編

或る研究員による手記

10月30日 イ型が本を読みあさっていると聞き、不要になった何冊かを私も与えてみた。つい二日ほど前、ビーカーから出た時には言葉もまともに話すことが出来なかったそれは「ありがとうございます、ちょうど、わたしのかたちのあのひとが、たたかいばかりをまなぶな…

夏の夜

せみが愈々大人しくなり始めた頃の、夜更けの事でした。夏の虫の声は相も変わらず騒がしくはありましたが、それでも、みんみんと大きな声で喚くものは既に消えて、時々じじじと唸る声以外は、流水のような鈴虫の音ばかりが、窓の外に満ちて居りました。其の…